

<TIPS #002> 黒をより深みのある黒へ。デザインにリッチブラックを取り入れよう
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こんにちは、KAMIKOです!まだ寒さが残っている今日この頃ですが、そんな時こそ、暖かいコーヒーでも飲みながら印刷の話でもしてみませんか?少し難しそうに聞こえる印刷や製版の話を、できるだけわかりやすくお伝えします。コーヒー片手に、気軽に読んでくださいね。
今回は、印刷データを作成するときに知ってると役立つお話。
黒をより深く美しく際立たせる方法として用いられる、リッチブラックと呼ばれる色設定があります。弊社でも「高級感のあるパッケージに仕上げたい!」というようなお客様の要望があったときによくご提案させていただいております。
今回はこのリッチブラックについてご紹介していきます。
印刷におけるいろんな“ 黒 ”
まず、印刷の黒には大きく分けて3種類の表現方法があります。
スミベタ K100%の黒 文字など印刷範囲がせまいときに使用。
リッチブラック C30%/M30%/Y30%/K100%の黒 黒の印刷範囲が広いときに使用。
4色ベタ C100%/M100%/Y100%/K100%の黒 いちばん濃い黒。
下にいくほどインキの量が増えるので黒の深みも増しますが、4色ベタに関してはインクの濃度が高くなりすぎるため普段使用することはありません。インキの裏うつり、印刷した紙同士がくっつくなどの印刷トラブルの発生要因となるので、弊社ではCMYKの合計値が合計300%以下になるようデータ作成を行なっております。
トリムマークのレジストレーション設定(C100%/M100%/Y100%/K100%)としては使用しますが、レジストレーションをデザインに使用することは避けてください。
RGBカラーモードで作成された黒(R0 G0 B0)は、CMYKに変換すると4色掛け合わせの黒となります。 このときの変換結果はアプリケーションのカラー設定によって異なります。 設定によっては、黒の濃度が薄くなり、印刷品質を落としてしまう可能性がありますので、 カラー設定を適切におこなってくださいね。

リッチブラックの特徴
CMYKの4色を使用したより深みのある黒をリッチブラックといいます。各色の割合設定は印刷会社により異なりますが、弊社ではC30%/M30%/Y30%/K100%の設定をリッチブラックとして推奨してます。
リッチブラックは広範囲の黒を印刷するときにどうしてもできてしまうピンホール(白抜け)回避にも役立ちます。印刷機の印圧を上げたりインキを盛ったりして回避する方法もありますが、汚れの原因につながります。このようなときに、リッチブラックであればひとつの版でピンホールができても他の3色の版がカバーしてくれるのできれいな黒ベタに仕上げることができます。
また、リッチブラックとスミベタ(K100%)の黒の濃さの差を利用してパッケージに模様を表現することもできます。さりげない模様が高級感を引き立たせてくれるので弊社でもよく使用する手法です。

黒の面積がせまいときはスミベタ(K100%)を使用
文字などの小さい面積に使用されるのがスミベタ(K100%)です。小さい面積にリッチブラックを使用すると、見当ズレ(多色印刷の際に版がずれて印刷される現象)が目立ちやすく、ぼやっとした刷り上がりになってしまうこともあるのでご注意ください。

また、弊社のスミベタ(K100%)は自動的にオーバープリント(ノセ)設定となります。スミベタの下にある色が透ける仕様となりますので、こちらに関してもご注意ください。

弊社では、お客様のご意向に沿ったパッケージに仕上げるために長年蓄積した経験からデータ作りのアドバイスをさせていただいたり、入稿後に弊社スタッフが修正させていただくこともあります。
パッケージの仕上がりのイメージやこだわりたいポイントなどがございましたら是非お聞かせください!
それでは今回はこの辺で失礼します。年度末は何かとバタバタしますが、次回もお楽しみに!
お仕事が忙しい皆さんも、体調には気をつけてくださいね。風邪ひき中のKAMIKOでした〜(@ω@;)

KAMIKO UEMURA
上村紙業 デザイン室所属。年間300点のパッケージデザインを手がける、デザインリーダー。グラフィックから構造についても、豊富な経験から、生産技術部からも相談されることも。趣味は宝塚鑑賞。
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