上村紙業株式会社は、2025年11月末日をもちまして、印刷パッケージ事業を終了いたします。
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オーバープリントを理解してデータ作りに役立てよう <TIPS #004>

2025.05
09

こんにちは、KAMIKOです。ついに4月!新生活シーズンですね!!……とはいえ、私は特に環境が変わるわけでもなく、相変わらずのデザイン漬けの日々。心機一転どころか、積み上がる案件の山を見て現実に引き戻されております。でもまあ、新年度ってだけでちょっとシャキッとする気もするので、気持ちだけでもフレッシュにいきましょう!さて、今回も印刷&製版の世界をちょっとのぞいてみませんか?今回は、オーバープリントについてお伝えしていきます。

オーバープリント(ノセ)設定とはデータ上の色設定のひとつで、通常はオブジェクトの上下の色が重ならない状態(ケヌキ合わせ)で印刷が仕上がるのに対し、オーバープリント設定をすると色の重なった状態で印刷が仕上がります。意図しないオーバープリント設定は想定通りの印刷の仕上がりを阻害します。IllustratorやPhotoshopの透明効果の「乗算」は、オーバープリントと似たような効果が得られますが、結果が異なるので注意が必要です。Illustrator9以降ではオーバープリントの状態で画面上で確認できる「オーバープリントプレビュー」という機能があり、事前に印刷結果を確認することができます。
オーバープリント設定を正しく理解し、データ作りに役立てましょう。

なぜオーバープリント設定をするの?

印刷物は、K(ブラック)→C(シアン)→M(マゼンタ)→Y(イエロー)の順でインキを刷ります。この際に紙の伸縮や見当ズレ(多色印刷の際に版がずれて印刷される現象)によってわずかにできてくる印刷のズレを目立たせないようにするためにオーバープリント設定はあります。

黒のオーバープリント設定

弊社で印刷するスミベタ(K100%)は製版時に自動的にオーバープリント設定となります。
黒(K100%)のオーバープリント設定は、黒の下にあるオブジェクトや柄が透けて見えてしまい、意図せぬ印刷仕上がりになってしまうことも多々あります。
これを回避する方法として、

スミベタ  違うインキを1%程度混ぜて、K100%の状態を回避する(K100%/C1%など)
リッチブラック リッチブラック(C30%/M30%/Y30%/K100%)にする(小さい文字などの狭い範囲にリッチブラックを使用することは推奨しません)

などが挙げられます。

白のオーバープリントに注意

白をオーバープリント設定にするとその部分は透明になります。あったはずのオブジェクトが印刷したら消えてしまった!!というような失敗も起こったり。。。。このような事故を避けるために、意図せぬオーバープリント設定はしないようにしましょう。

データ上のオーバープリント設定を確認するには、表示のオーバープリントプレビューで確認してください。

オーバープリント設定を解除したいときにはウィンドウの属性でチェックをはずすことができます。

入稿時には確認用のデータも忘れずに

印刷会社によっては、データ内に含まれるオーバープリント設定を自動的に全て破棄するところも多くあります。印刷を依頼する際は、オーバープリントに関して自動的に行っている処理があるかどうかも事前に確認しておくことをおススメします。
弊社ではお客様のデータに意図せぬオーバープリント設定はないかどうかを入稿の際に確認させていただいております。そのときの判断材料のひとつとなるのが、確認用のデータです。(印刷データの内容を確認するためのpdfやjpgデータ)お客様のご意向に沿ったかたちで印刷を仕上げるために、データ入稿の際には印刷用の本データと合わせて、確認用データもお送りください。

さて、今回はこの辺で終了!オーバープリント設定ひとつで仕上がりが変わるように、私たちの新年度も、ちょっとした設定次第で良くなる…かも?うまく調整しながら、今年も乗り切っていきましょう!ではまた次回、お楽しみに!

 


KAMIKO UEMURA
上村紙業 デザイン室所属。年間300点のパッケージデザインを手がける、デザインリーダー。グラフィックから構造についても、豊富な経験から、生産技術部からも相談されることも。趣味は宝塚鑑賞。

written by 上村紙業デザイン室
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